ケース紹介2 母の介護

Bさん(85歳女性)はずっと夫と二人暮らしをしていたが、5年前夫に先立たれてから、近くに住んでいた長女(62歳)が夫婦で実家に戻って同居することとなった。長女夫婦は協力し合って母の介護をしていた。

2年前、Bさんが脳梗塞を患い入院し、軽いマヒが残った。退院のめどが立ち、入院先の主治医から「退院後も継続的に状態を診てもらい、必要があれば訪問看護等利用してリハビリもしたほうがいいから、近くのかかりつけの医師を見つけたほうがいい」と言われた。杖があれば何とか歩行できるも、近くの診療所まで歩いて通うのは困難に感じられた。

長女が医療相談室の前を通ると当クリニックのパンフレットが置いてあった。定期的に訪問診療して健康を管理してくれる、定期訪問に加えて急に具合が悪くなったら診に来てくれるというのが気に入って、相談室のソーシャルワーカーを通じて当クリニックに電話し、退院後訪問診療を開始した。

以前よりもマヒがあるため自宅で介護が続けられるのか、また脳梗塞を起こしたらどうしよう、という家族の不安もあり、退院して始めのころは週に1回訪問診療を行った。ケアマネジャーと相談して廊下やお風呂に手すりをつけるなど住宅改修も行った。少ししてから訪問看護師によるリハビリも始まった。

退院して3ヶ月、Bさんの状態も落ち着き、家族も慣れてきたので、訪問診療を隔週に変更した。
落ち着いていると思われた半年後、長女が寝る前にBさんの部屋を訪ねたところ、表情がいつもと違い、反応がないのが気になって慌てて当クリニックに電話し医師に往診を依頼した。すぐに医師が来て診察し、以前入院していた病院に連絡を取り、入院して精密検査をすることになった。検査の結果、脳梗塞の再発ではなく、対応が早かったため次の日には退院できた。

それからまた、週1回で訪問診療を再開し、何かあってもすぐに対応してもらえた安心感もあり、2年たった現在、Bさんも家族も元気で生活を送っている。

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